もの忘れ外来

• もの忘れは早期認知症発見につながる貴重なサイン
• もの忘れの原因は、加齢・認知症・脳疾患
• 脳ドックによる早期発見で、適切な治療に結び付けましょう

もの忘れは、老若男女、誰にでも起こります。生活する中で全ての細部を覚えているのは不可能ですし、記憶を整理して重要なことを覚えておくためにも必要ないことを忘れるという機能は重要です。また、記憶力は加齢によって衰えますので、年齢を重ねるともの忘れが多くなります。
認知症によるもの忘れはこうした通常のもの忘れとは少し違います。そして認知症では、もの忘れが初期症状として現れることが多いのです。認知症は放置していると進行して日常生活に多大な支障を生じますが、早期に適切な治療を行うことで進行を止める、またはゆるやかにすることが可能です。早期発見は健康寿命を長く保つために、そしてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を低下させないためにも重要です。
もの忘れには、加齢によるもの、初期の認知症によるもの、そして脳疾患によって生じているものがあります。原因を判断するのは難しいため、「なにか違う」と感じたら脳神経科を受診することが重要です。当院では、MRI検査などを行って経験豊富な脳神経外科専門医が診断し、患者様の状態に合わせた丁寧な治療を行っています。
もの忘れが気になったら、そしてご家族など親しい相手からもの忘れを指摘されたら、気軽にいらしてください。

加齢によるもの忘れ

加齢により筋肉、免疫、聴覚や嗅覚などの感覚、基礎代謝が落ちますが、記憶力も同様に低下します。加齢によるもの忘れは記憶力の低下によるもので、基本的に進行スピードはとてもゆるやかです。指摘されて忘れていたことを思い出せるような場合は加齢によるものと考えられます。急にできないことが増えたり、突然話が理解できなくなったりということはありません。加齢による筋肉や記憶力の衰えは、訓練などによってある程度維持することが可能ですから、快適な暮らしを続けるためにも適切なケアやトレーニングが大切です。

加齢によるもの忘れの特徴

• ご自分で、もの忘れの多さを自覚している
• 体験したことは覚えていても、細部を忘れる
• 日常生活に支障はなく、習慣的に行ってきたことも以前通りに行える
• 状況に適切かどうかを判断できる

認知症によるもの忘れ

記憶力に加え、思考、理解、計算、学習、言語、判断といった認知能力が低下します。体験の細部だけでなく体験したこと自体を忘れてしまう、忘れていることを指摘されても思い出せないことが続くようでしたら認知症が疑われます。

認知症によるもの忘れの特徴

• もの忘れの多さを自分では認識していない
• 体験したこと自体を忘れる
• 日常生活に支障があり、習慣的に行ってきたことができなくなる
• 状況に適切かどうかを判断できない

脳疾患によるもの忘れ

脳疾患でも、もの忘れという症状が起こることがあります。原因となる脳疾患には、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、水頭症などがあって、早急に適切な治療をすることが重要になります。こうした脳疾患はMRI検査などを行って経験豊富な専門医が精緻に読影することで発見できます。当院では、大学病院などで長く臨床・研究を積み重ねてきた脳神経外科専門医が診断、治療しています。もの忘れ以外の症状はそれぞれの疾患や病変の位置や大きさなどによって異なる出方をすることも多いため、下記のようなことに気付いたらできるだけ早くご相談ください。

慢性硬膜下血腫

頭痛、吐き気・嘔吐、麻痺・しびれ、けいれん、言葉が出にくい、意欲の低下

脳腫瘍

頭痛、吐き気・嘔吐、視力低下、表情が引きつる、身体の左右どちらか片側の麻痺

水頭症

頭痛、吐き気・嘔吐、食欲不振、倦怠感

当院では、もの忘れが気になりはじめた方のための脳ドックを提供しています。脳ドックではMRIなどの高度な検査を行って経験豊富な脳神経外科専門医が原因を特定して診断できますので、早期の適切な治療につなげることができます。複数のコースやオプションをご用意していますので、それぞれの方のリスクやご心配にきめ細かく対応可能です。脳ドック後に脳に異常が起こっていないか、そして脳疾患のリスクや予兆などの結果をくわしくご説明して、適切なフォローやケア、治療についてわかりやすくお伝えしています。