当院が年で30人の椎骨動脈解離を発見できた理由

一般に椎骨動脈解離は稀な病気と考えられており、その発症率は10万人に1~3人と言われています。よって、普通のクリニックでは殆ど見つかりません。椎骨動脈解離が見つかるのは年間に1人~3人程度という脳神経外科クリニックさんも多いと思います。

ですが、当院は1年間で30人の椎骨動脈解離を見つけました。そこで本日は「なぜ当院でばかり見つかるのか?」という疑問にお答えしていきます。

まずは ”他のクリニックで見つかりにくい理由” を書いていきます。

椎骨動脈解離が見つかりにくい理由

理由1:解離は稀な病気という認識がある
→真っ先に病気の候補に考える医師が少ない
→発症率が低い前提なので、調べても無駄という認識がある

理由2:必ず後頭部痛・首の痛みが起こると考えている
→全員に強い後頭部痛が起こるわけではない
→同様に首の痛みが起こらない人もいる

理由3:通常の検査内容では解離の判断はできない
→解離を確認するには追加検査が必須
→医師が解離を疑い検査指示を出す必要がある


このような理由から、クリニックで見つかる事は少ないです。しかし、当院では10万人に1~3人という発症率に疑問を持ち、椎骨動脈解離の可能性を積極的に探りました。すると、最初の4か月で5人も見つかったのです。その後も子の方針を継続したところ、1年で30人を発見するに至りました。

これは常識的には考えられない数であり、偶然の域を超えています

・最初から解離の可能性を考える医師が少ないこと
・発症率のデータと実態が異なること

この2点を証明したに等しいと考えます。発症率は公表値の数倍~数十倍いてもおかしくありません。この病気は気付かれる事なく自然治癒に至るケースも多々あるのでしょう。しかし、自然治癒する方がいる一方で、大変な事態に繋がる方がおられます

この病気に警鐘を鳴らす理由

実は椎骨動脈解離は死に至る可能性がある病気なのです。だからこそ、軽視は禁物です。

椎骨動脈解離を発症した場合、その後の流れは以下のいずれかとなります。

ケース1.自然治癒により回復する

ケース2.血管が詰まり脳梗塞を発症する

ケース3.血管が破れくも膜下出血を発症する

ここで2、3のルートを辿ると命の危険があります。この話を聞けば、「なぜ軽んじる医師ばかりなのか!!」と怒る方もいると思います。ですが、医師が悪いわけではないのです。そうなる原因は発症率が低いというデータがあるからです。稀な疾患だという認識があるのです。

繰り返しますが、椎骨動脈解離は見つかっていない人が多いだけで、実際の発症率はもっと高いと考えられます。検査で解離を発見できれば、脳梗塞やくも膜下出血を発症リスクを下げる治療ができます

まず、治るまでは首に強い負担を掛けてはいけないという事を自覚させます。建物で言うなら崩れかけている状態です。負荷を掛ければ通常の建物とは比べ物にならないぐらい簡単に倒壊します。椎骨動脈がその状態にあるという事です。

そして、脳梗塞やくも膜下出血を予防する薬の処方ができます。椎骨動脈が回復するまでの間、飲み続ける事で効果的に予防できるのです。

後頭部の痛み、首に痛みがある方へ

ここから下は症状がある方向けのご説明です。

下記症状が1つでも当てはまる場合は、椎骨動脈解離の疑いを持ってください。

  • 後頭部の頭痛
  • 首(うなじ)の痛み
  • 左右どちらかの痛み

代表的な症状として上記3つを挙げましたが、1つでも当てはまれば解離を疑ってください。その理由として、必ず起こると決まっている症状はないからです。尚、頭痛は多くの方に発生し、痛みは強い傾向にあります。また、患者様によく聞くと一過性脳虚血発作(TIA)を併発している場合があります。TIAとは脳梗塞の症状が短時間発生するものです。

TIAの解説:一過性脳虚血発作(TIA)とは?


下記に脳梗塞の症状を列記しますので、確認してみてください。

運動障害
身体の左右どちらか片側に力が入らない、食事中に箸や茶碗を落とす、歩いている時に傾くなど

感覚障害
身体の左右どちらか片側の手などがしびれる、感覚が鈍くなるなど

視野障害
物が二重に見える、視野(見える範囲)が狭くなるなど

言語障害
言葉がうまく出ない、呂律が回らないなど

バランス障害
ふらつく、めまいがする、足元がフワフワするなど

このような症状が短時間起きて、すぐに元に戻ったという方は、必ず直ぐに受診してください。椎骨動脈解離と脳梗塞の両方が疑われます。TIAは脳梗塞の前兆で、TIAが起こった方のうち15~20%の方は、3カ月以内に脳梗塞が起こります

どこで診てもらえば良いのか

「MRIがあり、椎骨動脈解離の精査をしてくれるクリニックへ行く」が答えです。ですが、この基準で探すことは難しいと思います。どの程度椎骨動脈解離に理解のある医師で、どのようにMRI撮影を行うかは公開情報ではないからです。

MRI撮影には通常この工程で撮るというルーティーンがあります。ですが、実際には患者様が訴える症状により撮影方法を追加したり、変更する必要があります。例えば、椎骨動脈解離疑いなら血管MRA、聴神経腫瘍疑いならCISS法というようにです。

しかし、現実は柔軟な対応が出来るクリニックばかりではありません。事実、他院様でMRIを受けた方が当院へ来て、初めて解離が見つかる事は日常です。

どこで診てもらえば良いかわからない場合は、当院で検査を承ります。当院は横浜市青葉区にある脳神経外科です。田園都市線藤が丘駅から徒歩8分です。検査機器はMRIです。問診票に椎骨動脈解離疑いと書いてください。しっかりと精査させていただきます。

よくある当院へのご質問

Q.検査や診察にどれぐらい時間が掛かりますか?
総所要時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。

Q.いくら掛かりますか?
初診+MRI検査で約8,500円です(3割負担の方の場合)。追加検査がある場合は総額で概ね10,000円~15,000円となります。

Q.何回通院する必要がありますか?
当院は1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針です。よって一回きりのご来院で大丈夫です。※懸念事項があった場合、椎骨動脈解離が見つかった場合は例外です。

Q.貴院が特別高いということはありますか?
ありません。同じ性能のMRI、同じ検査内容なら、どこの病院でも値段は一緒です。

Q.BB法を用いた場合、値段は変わりますか?
変わりません。ご安心ください。

Q.椎骨動脈解離のもっと詳しい解説はありますか?
こちら
をご覧ください。

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椎骨動脈解離とは?

 

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

 
 
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科

田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。

 
混雑時はお電話に出られない場合があります。 お手数ですが、数分後にお掛け直しください。

電話番号:045-482-3800

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