閃輝暗点は目の病気ではなく、頭の病気です。その中で代表的なものが脳梗塞や脳腫瘍になります。まずはその原理について説明します。
脳疾患で閃輝暗点が起こる原理
後頭葉に異常が生じた場合、視覚異常が発生することがあります。
- 後頭葉とは?
後頭葉は頭の後ろ側、首の上に位置します。後頭葉は視覚情報の処理を行っています。つまり、眼で見えるものと関連性が高い部位になります。
後頭葉に脳梗塞や脳腫瘍ができた場合には、半盲(視野の半分が見えなくなる)など視覚異常がよく起こるのですが、その中の一つに閃輝暗点が発生する事があります。脳の中は診察・問診では確認できません。よって、MRIやCTといった脳の内部を確認できる検査を行う必要があります。
閃輝暗点の有病率
さて、肝心の内容です。
閃輝暗点が起こった人における脳梗塞の確率のお話です。これは恐らくビッグデータが存在しません。閃輝暗点の大規模調査自体がほぼ存在せず、ましてやその中での有病率を取ったデータはないでしょう。
以前に当院が閃輝暗点108名分の年齢・性別分布を公開しましたが、これは日本で一番数の多いデータだと思います。
ですから、答えはわかりません。
…と言うのは忍びないので、当院の状況で数字を出してみます。
閃輝暗点の方は直近2年間で200名以上診ています。その中で後頭葉に異常が見つかった方は3名です。全員脳梗塞でした。
ですので、確率は1~2%程度となります。
「低確率だから放置しても良いか?」と聞かれたら、答えはNOです。一度は検査をし脳疾患でない事を確認しておくのが無難です。これは商売として言っているのではありません。自分の身内が閃輝暗点を繰り返したら検査をさせます。それが最善だからです。
症状が閃輝暗点のみなら、仮に脳梗塞だったとしても後遺症が残る確率は低いです。後になって身体の片側がしびれる、力が入らないといった症状が出てきたタイミングとは状況が違います。また、多くの患者様が相当な不安感を抱えて来院されます。脳に問題がない事がわかると安心感が全く違います。
当院ではただ「大丈夫ですよ。」で終わらせるのではなく、実際に撮影した画像を見せながら説明を行います。閃輝暗点の患者様は熱心に聞かれる方が多く、フンフンと頷きながら聞いたり、時には質問をされます。そして笑顔になって帰られる患者様が実に多いです。視覚に症状が出る事はそれほど恐怖心を煽られるものなのです。
追記/2024年4月
閃輝暗点でご来院された方から、脳出血の方が1名見つかりました。
赤丸が出血部分です。
よくあるご質問
Q.なぜ貴院には108名もの閃輝暗点データがあるのですか?
A.当院に閃輝暗点の患者様が多くご来院されるからです。ご来院に至る理由は閃輝暗点に関する情報発信を積極的に行っているからです。
こちらのページをご覧いただければ、当院がどのレベルで閃輝暗点の診療しているか想像が付くと思います。
尚、閃輝暗点108名分のデータはこちらに掲載しています。
閃輝暗点を詳しく知りたい方へ
閃輝暗点の解説動画です。
お役立ちコラム
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日
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