こんにちは。
横浜市青葉区の脳神経外科、脳神経内科、横濱もえぎ野クリニックです。
本日は閃輝暗点について掘り下げて書きます。
閃輝暗点の原因は?
脳血管の縮小や拡張が原因です。
これが視覚野と呼ばれる部分に起こった場合、視覚的な異常が発生します。
また偏頭痛の前兆として起こることは有名です。
偏頭痛であるかどうか
片頭痛とも書きます。脳血管の急激な拡張で痛みを起こす頭痛です。
頭の左右、どちらかが脈打つようにズキンズキンと痛くなります。
まずは閃輝暗点が偏頭痛起因であるかを考えます。
- 偏頭痛の診断を受けたことがある
- 閃輝暗点後の頭痛に偏頭痛薬が効く
この両方に該当する場合は偏頭痛が原因と判断できます。
閃輝暗点は早めに薬を飲むタイミングを教えてくれる前兆と考えましょう。
偏頭痛薬は早く飲んだ方が効きも良いです。
閃輝暗点の誤解
閃輝暗点は偏頭痛の前兆症状として認識されています。
しかし、実際には偏頭痛ではない方でも閃輝暗点になります。
これには裏付けがあります。
当院が閃輝暗点の患者様を多く診てきた上で述べているからです。
当院は普通の脳神経クリニック様の何倍も症例を診ています。
これは閃輝暗点の患者様が当院へ足を運んでくださるためです。
実態はこうです。
- 閃輝暗点は偏頭痛の前兆として起こることがある。
- その一方で偏頭痛持ちではない方にも起こる。
- そして稀に脳疾患の方が含まれている。
問題は一部のお医者様が、閃輝暗点=偏頭痛と考えていることです。
しかし、偏頭痛薬を処方しても効かない方が沢山いるはずです。
何故なら、その患者様は偏頭痛ではないからです。
要注意の患者様
問題は閃輝暗点が起こるのに、一度も精密検査を行ったことがない方です。
脳疾患による閃輝暗点の疑いを払拭するために、一度は検査をお勧めします。
特に40代以上の方や高齢者の方。
40歳以上は脳疾患リスクが上がるのと、偏頭痛は高齢になると減衰していく頭痛のためです。
検査を推奨する理由は、閃輝暗点の一部は頭の病気が原因の事があるからです。
脳梗塞など、、。
こちらは当院での実例です。
閃輝暗点で脳梗塞が見つかった患者様/診療症例12
検査で異常が見つかれなければ、ひとまずは安心できますね。
一回の閃輝暗点で偏頭痛薬を推奨しないのは
閃輝暗点は偏頭痛持ちではない人にも起こるからです。
つまり閃輝暗点=偏頭痛と診断するのは早計です。
一回で結論を出してしまう先生もおられますが、それは偏頭痛薬が効かない→やっぱり偏頭痛ではなかったというケースを頻発させます。
閃輝暗点の治し方
閃輝暗点には薬がありません。閃輝暗点に対する治療薬が存在しないのです。
もちろん即効で直す方法などはありません。
ですので、出来るだけ原因を特定し、それを気を付けることで予防するという形になります。
血管の縮小や拡張が起こる理由は、食べ物飲み物、睡眠の質、ストレスによって起こるとされています。
- ①.食べ物、飲み物
チョコレート、チーズ、ナッツ、ココア、コーヒー、ワインは閃輝暗点を誘引しやすいです。
上記を摂取した後に起こる場合は、控える、分けて食べる等を試してみてください。
それ以外のもので当院で見た事例はタバコ、アーモンドがあります。
- ②.特定の状況
閃輝暗点は特定の場面で頻発する方もいらっしゃいます。
例えば、緊張がほぐれた直後や、過度なストレスがある状況など。
これは身体からの悲鳴のサインとも受け取れるので、
誘発する理由が改善できる場合は試みることをお勧めします。
尚、、当院に来た患者様でタバコを吸うと必ず起こると仰る方もいました。
- ②.栄養素の補給
栄養補給による改善偏頭痛起因の閃輝暗点は、バランスの良い栄養補給で改善する可能性があります。
沢山挙げても混乱すると思いますので、有効度の高い二つを紹介します。
マグネシウムとビタミンB2です。
- マグネシウム:脳血管の緊張改善、脳血管の炎症防止
- ビタミンB2:血流改善、偏頭痛頻度減
- 亜鉛:効くとの話は聞きます 当院では検証中です
これらは食事から摂取することが望ましいですが、それだと量に限りがあるためサプリを使う事も一つの方法です。
- ④.血管拡張剤
閃輝暗点が頻発する患者様に、予防として血管拡張剤を使用するという方法を耳にしたことがあります。
一部の眼科クリニック様などで行われているようです。※当院では推奨しておりません。
- ⑤.偏頭痛が原因だと確定している場合
偏頭痛を起こしにくくする事で閃輝暗点の機会を減らします。
偏頭痛予防はこれまでは毎日薬を飲む形が主流でしたが、
現在はエムガルディ注射など、注射による予防治療が主になりつつあります。
※当院では偏頭痛薬関連の注射は行っておりません。
- ⑥.ストレス、疲労感の改善
ストレスや疲労は眉唾物ではなく、実際に関係性があると考えられます。
その理由は閃輝暗点の回数が多い方は、ストレスや疲労感が強い傾向にあるからです。
少し前に月に10回ぐらい起こる方を診ましたが、この方も例外ではなく激務の方でした。
ストレスや疲労感があると自律神経のバランスが崩れます。そうなると血行不良が起こります。
閃輝暗点は血流の変化に起因するので、発生要因として筋は通ります。
問診で患者様に色々伺うのですが、精神的負荷と回数が比例する方がいらっしゃるので、
身体が負荷を示すサインとして起こしている可能性が示唆されます。
医療従事者の方へ
閃輝暗点の説明は、必要以上に不安にさせない事が大切です。
患者様は視覚的に非常に怖い思いをした上で、来院されています。
既に恐怖感が植え付けられている状態ですので、
それを雑にあしらうことは不安を増長させるだけです。
私達脳神経外科医は、MRIを使ってしっかりと脳内を調べ上げ、
その上で脳に異常がないこと、脳が原因ではないことを、患者様がわかるようにお伝えするのです。
そして、命を危険に晒すものや、何処かが悪いわけではないという事を理解してもらうのです。
大事なことは閃輝暗点が起こった場合は、二次災害を起こさないようじっとしていることです。
視覚障害ですので、車の運転は勿論NGですが、歩き回ることも望ましくありません。
閃輝暗点をもっと知りたい方へ
こちらの動画をご覧ください。
お役立ちコラム
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
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