こんにちは。
横浜市青葉区の脳神経外科・脳神経内科 横濱もえぎ野クリニックです。
今回は巨大な脳動脈瘤が見つかった患者様の症例について書きます。
・右瞼が下がってくるため、眼科クリニックを受診した
・眼科クリニックからのご紹介で当院へ
・右瞼下垂以外の自覚症状はなし
患者様はMRI精査希望でご来院されました。
第一所見では片側の瞼下垂症状から何らかの脳疾患起因を疑いました。
MRIの検査結果は巨大な脳動脈瘤の存在を認めました。
※拡大しているので画質は荒めです。
8.3mmはかなり大きい動脈瘤です。
このサイズは普段あまり目にすることはありません。
【脳動脈瘤とは?】
脳血管の一部がこぶ状に膨れ上がったものを指します。
こぶが大きくなると血管が破れやすくなります。
破れるとくも膜下出血となり、生命に危険が及ぶ状態になります。
正式には未破裂脳動脈瘤と言います。
動脈瘤は基本的に無症状なのですが稀に症状が発現することがあり、
今回の右眼瞼下垂は脳動脈瘤によるものです。
医学的な名称ですと右動眼神経麻痺に該当します。
ある程度大きくなってくると神経麻痺や三叉神経痛が発現することがあります。
動眼神経麻痺から動脈瘤が見つかるケースはそれなりにあります。
今回のケースもそれに該当します。
動脈瘤の大きさは、破裂リスクが高くすぐに手術を行うことが推奨されるものです。
しかし今回は経過観察ということで話が纏まりました。
患者様は大変ご高齢で、動脈瘤の破裂よりも
他の理由で天寿を全うされる可能性が高いことから
手術を行うメリットよりもデメリットの方が大きいと判断しました。
その事を正直にお伝えし、ご家族とご本人の意向をお尋ねしたところ、
治療は望まないとのご回答でした。
よって症状が悪化した場合はそのタイミングでの再受診、
変化がなければ半年後に再受診を指示しました。
動脈瘤が大きい場合すぐに「手術だ!」と仰られる医師もいますが、
完全にケースバイケースだと考えます。
患者様の健康状態、ご年齢、生活環境、ご家族・ご本人の希望
といった複数の要素から判断していきます。
特に80歳を超えている場合は必ずしも手術が良いとは限らず、
動脈瘤の位置とサイズも鑑みながらの検討になります。
大きな動脈瘤が見つかった場合でも、
必要以上に患者様を脅かすことは悪い方向にしか影響を与えません。
あくまで冷静にお伝えしご自身に状況を把握してもらうこと、
そしてどんな選択肢があるかをご案内することを大事に考えます。
患者様には上記の内容を踏まえ冷静にお伝えし、
ご家族様共々しっかりご納得されて和やかに帰宅されていきました。
当院への受診をお考えの方へ
以下の記事にて当院の特徴をまとめております。
是非ご覧くださいませ。
頭痛外来をお探しの方へ
https://www.ymc3838.com/column/2283/
記事監修
院長 泉山 仁
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医
35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。