最終更新/2023年3月27日
こんにちは。
横浜市青葉区の脳神経外科・脳神経内科、横濱もえぎ野クリニックです。
本日は無呼吸症候群と頭痛の関係性、治療方法についてのお話をします。
◆無呼吸症候群とは何か?
正式名は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言います。睡眠中に呼吸が止まる症状がある病気です。
定義は1時間に5回以上の無呼吸状態がある人です。10秒以上の呼吸停止が無呼吸に該当します。
潜在的な患者数も含めると日本だけで500万人以上いると推計されています。
◆主な症状
いびき、日中の眠気、肥満、夜間頻尿、熟睡感がない、寝言が激しい、起床時の頭痛、慢性頭痛
呼吸が止まる、苦しくて目が覚める、疲れが取れない、起床時に口が乾いている
など…
◆主な治療方法
CPAP(シーパップ)療法:睡眠時に呼吸を促す機械を装着します。
マウスピース療法:睡眠時にマウスピースを装着します。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)療法:外科手術で気道を広げます。
尚、現在のところ飲み薬による治療法は確立されていません。
◆「肥満じゃないから関係ない」は嘘です
肥満な方特有の病気と思われがちですが痩せている方にも起こる病気です。
無呼吸症候群を抱える患者様のうち3割は非肥満体系です。
また合併症を引き起こしている方が多く、特に糖尿病や高血圧との併発はよく見られます。
ご自身の息が止まっていると把握できていない方もいます。
極端に睡眠の質が悪いとお悩みの方は、一度疑ってみたほうが良いかと思います。
◆軽度でも不調を引き起こしている場合があります
寝起きの悪さや、疲れが取れない等の症状から検査をしてみて発覚するケースもあります。
軽度の方でも私生活に大きな悪影響を及ぼしている場合があります。
命の危険がある疾患のリスクも上がるため放置は推奨されません。
◆無呼吸でリスクのあがる病気
・高血圧
・不整脈
・脳血管障害
・虚血性心疾患
・糖尿病
・胃食道逆流症
◆頭痛との関連性と脳疾患のリスク
当院は脳神経外科を標榜しておりますが、無呼吸症候群と脳卒中、脳梗塞との関連性は高いです。
無呼吸症候群の方の脳卒中発症率は、健康な方の3~4倍と言われています。
「よく起床時に頭痛がする」 「慢性的な頭痛があるが、特に朝がひどい」
という症状の方は無呼吸症候群の可能性を考えても良いです。
頭痛でご来院される方で、無呼吸症候群が原因だったと発覚するケースは度々あります。
◆当院での検査・治療は可能か?
はい、可能です。
ただし、当院は脳神経外科の診療を主としております。
ご案内は頭痛がある方で、他に異常が認められなかった場合になります。
頭に関する自覚症状がない方は、呼吸器外来を標榜しているクリニックへお掛かりください。
当院での検査の流れは以下のようになります。
MRI検査で脳疾患の有り無しを確認
↓
ご自宅での簡易検査
↓
1時間に40回以上の無呼吸状態が確認できた方 → 保険適用でのCPAP(シーパップ)療法のご案内 → 以後1か月に1度のご来院
1時間に20~39回の無呼吸状態が確認できた方 → 検査可能な病院に一日入院してより精密な検査を行う → 20回以上の無呼吸が確認できた方 → 保険適用でのCPAP(シーパップ)療法のご案内 → 以後1か月に1度のご来院
当院ではCPAP(シーパップ)療法のみをご案内しております。
これは一番効果が高く、一番現実的な解決方法だと考えているからです。
◆CPAP(シーパップ)療法とは?
CPAP療法は睡眠時に呼吸を促す機械を装着して、無呼吸の症状改善を促す治療法です。
マスクを介し気道内に圧をかけ、気道の閉塞を防ぎます。マスクから空気が送りこまれ呼吸を促してくれます。
鼻に空気を送り込むマスクを付けて寝ていただく形になります。
性質上口呼吸が困難になるため、口呼吸の改善にも繋がります。
メリットは効果が高いこと、デメリットは慣れるまで違和感があることです。
鼻呼吸前提となるため、鼻詰まりがある方には使えません。
こちらがCPAPの現物です。
CPAP使用時の気道の状態です。
◆CPAP(シーパップ)療法の実際の効果は?
効果が低い方でも無呼吸回数が半分以下になります。
著効な方の場合は無呼吸回数が1割以下になります。
実際には6割~8割程度、改善される方が多いです。
重度の無呼吸の方は「楽になった」と体感される率が非常に高いです。
◆いくら掛かるのか?
3割負担の方の場合でご案内します。金額はあくまで目安です。
初回MRI検査時:9,000円程度
ご自宅での簡易検査料:2,700円
保険適用でのCPAP療法:1か月に1度のご来院で5,000円程度
入院して精密検査を行われる場合:40,000~50,000円程度
記事監修
院長 泉山 仁
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医
35年以上の経験を持つベテラン医師。モットーは真心のある診療。患者様にしっかりと説明を行い、よく理解してもらう事を大切にしている。気さくで親しみやすい診療が評判を呼んでいるが、実力の伴う医師である事も重要だと語る。現在もその経歴に奢ることなく勉学に励み続けている。