ジェットコースターで椎骨動脈解離になる!?/診療症例18

結論からお伝えします。
ジェットコースターで椎骨動脈解離になる事はあります。

但し、それを理由に乗るのを止めるかは個人の判断です。詳しくは読み進めてください。


今回はジェットコースターで椎骨動脈解離を発症したケースです。

患者様の状況

  • 50代女性
  • ジェットコースターに乗ってから頭痛が始まった
  • それから二週間以上頭痛が続いている
  • 睡眠中に頭痛で目が覚める

~MRIでの診断までの流れ~

椎骨動脈赤丸内に、解離らしき所見。

角度を変えて拡大して再確認。

さらに明確に出血がある事も確認。

尚、この方は当院の椎骨動脈解離の記事を見て受診されました。

原因はジェットコースターなのか?

椎骨動脈解離に詳しい医師であれば、ジェットコースターが要因の一つである事は理解しています。ですが、ジェットコースターのせいで発症したとは限りません。

最後の引き金になっただけという可能性があるからです。椎骨動脈解離は必ずしも、思い当たる節があるとは限りません。最後の引き金が「首を傾けただけ」という方もいるぐらいです。そうであれば、仮にジェットコースターに乗らなかったとしても、いずれ別の場面で発症するでしょう。

推論の域は出ませんが、一応状況をお尋ねしました。ジェットコースターに乗っていた際に「首が激しく動いたり、ガクガクするような状況だったのか?」と。「そうだったと思う」とのご回答で、「その日3回乗った」という事でした。この方の場合は、ジェットコースター起因の可能性がありそうです。

ジェットコースターには乗らない方が良い?

振動が強かったり、極端に重力が掛かる遊具は、椎骨動脈解離に限らず、何からの病気を誘引するリスクはあります。ただ、それで乗るのをやめるかは個人の判断ですし、実際にやめる方は殆どいないでしょう。

これは「車に乗ると交通事故のリスクがある」の話と同じです。確かにその可能性は0ではありませんが、それで車を降りる方がどれぐらいいるか?という話です。これがバイクであれば少し話は変わるでしょう。事故を起こした時の危険度が違いますから。中にはそれを理由にバイクに乗らない方もいるでしょう。

要はリスクと天秤にかけて判断するという事です。ジェットコースターであれば、首に問題があったり、網膜裂孔・網膜剥離の可能性がある人は避けた方が良いでしょう。ただ、そうでない人まで乗るのをやめる必要があるのか?という話です。

患者様の治療

大分脱線しました。話を戻しましょう。

この患者様には抗血小板薬の処方は行いませんでした。現時点では椎骨動脈の狭まり、窄まりが起こっていないからです。今の段階では血管が詰まって脳梗塞を発症するリスクは低いと判断しました。但し、この後時間差で椎骨動脈が詰まってくる可能性はありますので、落ち着くまでは検査を繰り返して、しっかりとフォローアップしていきます。

椎骨動脈解離の方を全員病院送りにしたり、必ず抗血小板薬を出される先生もいますが、それではあまりにも機械的です。必要に応じて・状況に応じて判断する事が、最も患者様のためになると考えます。

椎骨動脈解離について知りたい方へ

こちらの動画をご覧ください。

 

記事監修

院長 泉山 仁

・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医

平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業

 
 
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科

田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日

初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。
 
混雑時はお電話に出られない場合があります。 お手数ですが、数分後にお掛け直しください。

電話番号:045-482-3800


TOPへ