鼻の詰まりと頭痛、両方の症状がある方は副鼻腔炎の可能性があります。特に頭痛が前頭部である場合は、副鼻腔炎の典型的症状です。
副鼻腔炎とは?
副鼻腔炎は鼻の周りにある副鼻腔に炎症が起こる病気です。副鼻腔は顔の左右にそれぞれ4個ずつ、合計8個あります。その中には空気が入っていて、小さな穴で鼻腔(鼻の内部)とつながっています。副鼻腔の表面には薄い粘膜があり、粘液を出しています。
ちなみに蓄膿症(ちくのう症)は副鼻腔炎の事です。蓄膿症=慢性副鼻腔炎を指すことが多いです。
副鼻腔炎の主な症状
- 鼻づまり
- 鼻水
- 頭痛
- 鼻内からの悪臭
- 嗅覚の低下
- 咳や痰
- 顔面痛
- 頬の違和感、圧迫感
副鼻腔炎が悪化すると頭痛も酷くなります。痛みの強さは千差万別ですが、非常に強い痛みも訴える方もいます。「こんなに痛いのは初めて」と言いながら前頭部痛を訴える方は、結構な確率で副鼻腔炎です。
副鼻腔炎の治療
発症から1カ月以内
→「急性副鼻腔炎」 抗生物質や消炎薬などの薬物療法で治ります。
発症から3ヵ月以上続く
→「慢性副鼻腔炎」 薬物療法や吸引治療で効果がない場合、手術になることもあります。
尚、頭痛が酷く当院で来られる方の場合は吸引など投薬以外の治療を必要とするケースが多いです。頭痛の原因が副鼻腔炎の場合、悪化度合いが高い傾向にあるからです。
副鼻腔炎疑いは何科?
一般的には耳鼻咽喉科ですが、脳神経外科を経由するという選択肢もあります。特に頭痛を併発している場合は、まずはMRIのある脳神経外科が良いです。
脳神経外科を経由するメリット
- 鼻と脳を同時に調べる事ができる
- 脳の病気のリスクをケアしつつ、鼻の詰まり具合を把握できる
- 耳鼻咽喉科を受診する必要があるか判断できる
実は鼻の詰まり具合を最も把握できる検査はMRIです。しかし、耳鼻咽喉科にはMRIはまずありません。
設置がない理由
- 副鼻腔炎疑いのMRIは、つい最近まで自費診療だったから
- MRIは高額な機械のため、導入の敷居が高いから
- MRIがなくても、診療は成り立つから
現状、耳鼻咽喉科はMRIが無くても診療は成立しています。ただ、これは患者様にとってベストかと聞かれると疑問があります。
患者様の立場での最善は?
MRIで確認されると鼻の状態がハッキリわかってしまいます。即ち、治療の前後でMRIを受けると、耳鼻咽喉科の治療を行った医師の成果が開示されます。ですが、手術ではない治療で鼻奥まで完全に綺麗にするのは、かなりの技量が必要です。
実際には残ってしまうケースが多いので、わざわざ調べて欲しくないと思う医師が多くなるのは必然です。ですから、MRIはやらなくても良いと考える耳鼻咽喉科の医師が多いのです。
当院では年間100人以上の副鼻腔炎が見つかります。必然的に多くの耳鼻咽喉科に治療をお願いした経験があります。ですが、治療後の状態を確認して欲しいと依頼してくる医師は1人だけです。その方は真面目で技量のある先生です。
結論、耳鼻咽喉科でMRIを薦められるケースは少ないです。ですが、頭痛併発の場合は、まずはMRIがある脳神経外科です。患者様視点ではこれがベストだと思います。
MRIでわかる鼻の詰まり具合
MRIは柔らかい部分の撮影が得意な機械です。鼻の膿など液状のものが綺麗に映ります。
こちらは顔を正面から見た画像です。赤丸部分は鼻腔の奥です。向かって右側は空洞で黒色です。対して左側は膿が詰まっており真っ白です。鼻部分も左側の通りが良くなく、膿が詰まっています。
この方は経験した事のない前頭部痛、鼻周辺を押すと痛むで受診されましたが、ご覧のように膿がパンパンに詰まっており、相当辛そうでした。現在は耳鼻咽喉科で治療済みで、体感も大分良くなったとのことで一安心です。
尚、このような画像1枚だけで判断することはありません。MRIは断面状に細かくスライスした状態で撮りますので、何十枚もの画像で鼻の入口から奥までをしっかりとチェックできます。
副鼻腔炎で脳神経外科
副鼻腔炎疑いは脳神経外科ならどこでも診てくれるかというと、そうではない可能性があります。まず、副鼻腔炎疑いでのMRIが保険適用になった事を知っている脳神経外科医が限られています。耳鼻科からの依頼も殆どないので、知る機会にも恵まれません。
クリニック次第では「ウチは頭だけだから」と断わられる事があるでしょう。特に頭痛がなく鼻のみでの検査希望は、そのように対応される事が増えると思います。ただ、画像上で鼻を診れる医師自体は多いです。鼻は普段のMRIで脳と共によく診ている部位だからです。
どこへ行けば良いかわからない場合は、当院で検査を承ります。当院では年間100人以上の副鼻腔炎が見つかります。毎週のように、患者様を耳鼻咽喉科様へご紹介しています。尚、耳鼻咽喉科へのご案内は必ずしもセットではありません。治療の必要がある患者様だけご案内します。遠方からお越しの方の場合は、受診を希望されるお近くの耳鼻咽喉科をお申し付けください。
A.頭のMRIを撮る時に鼻も一緒に映るため、偶然見つかるケースが多発するためです。
保険適用でのMRI検査は一般的には一部位につき一回の検査となっています。ですから、本来は脳と鼻で検査を分ける必要がありますが、脳を撮れば鼻も一緒に映ります。これは「偶然映ってしまった。」という扱いになので、患者様は一回分の検査料で済みます。一石二鳥です。
よくある当院へのご質問
Q.最短でいつ検査ができますか?
当日枠に空きがあれば、その日に検査が可能です。
Q.どれぐらい時間が掛かりますか?
患者様の滞在時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。
Q.いくら掛かりますか?
3割負担で初診の方の場合、MRI検査込みで約8,500円です。追加検査を行う場合は概ね10,000円~15,000円です。
Q.何回通う必要がありますか?
一回きりのご来院で大丈夫です。当院が1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針だからです。
※懸念事項があった場合、採血結果のお知らせ等、例外はあります。
Q.予約制ですか?
予約制です。ご来院前にお電話にてご予約下さい。
副鼻腔炎の実例紹介
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日
初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。
電話番号:045-482-3800