性行為頭痛の要点
- 性行為頭痛は筋肉の収縮や急激な血流の変化によって起こる
- 男性に多いが女性にも存在する
- 突然激しい頭痛が起こるタイプが多い
- 一般的な痛み止めで対処できる
- 受診する価値=危険な頭痛でないかを判断してもらう
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性行為頭痛とは?
男性は性行為に伴い頭痛が起こる方がおられます。一般的に認知されている頭痛ではないため、何かの病気ではないかと不安に思う方もおられるでしょう。頭痛が起こる原因は筋肉の収縮や急激な血流の変化によるものです。激しい運動によって起こる事象と考えれば納得がいく方も多いでしょう。また、少数ですが女性にも頭痛が起こる方がおられます。
性行為の頭痛は医学的には一時性頭痛に分類されます。問題は性行為による頭痛が本当に一時性頭痛であるかです。
危険な頭痛なのか?
腹上死[ふくじょうし]という言葉を聞いた事がありますか?性行為中に起こる突然死の事です。性交死とも言います。この原因の大半は脳卒中と心停止(心筋梗塞など)です。血圧や心拍数の過度な上昇により死に至るのです。脳卒中とはくも膜下出血、脳梗塞、脳出血のことです。
医学的には二次性頭痛に分類されます。起こった頭痛が二次性頭痛によるものであれば、最悪の場合亡くなる事もあります。
二次性頭痛の代表的な病気
くも膜下出血
くも膜下出血は脳の血管が破裂し、くも膜の下に血が溜まる病気です。脳には酸素と栄養素を届ける太い血管が沢山あります。この血管が破れて出血を起こすと、脳の表面を覆うくも膜の下に血液が流れ込みます。くも膜下出血は約1/3の方が亡くなる危険な病気です。症状が現れたらすぐに救急受診してください。
症状はとにかく激烈な頭痛が起こります。救急車を呼ぶレベルの経験したことのない頭痛です。また、前兆症状として首の痛み、吐き気・嘔吐、意識低下等が起こることもあります。
脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管が詰まり、脳細胞が死滅してしまう状態です。死滅した脳細胞は回復しないため、その部分が担っていた感覚や機能は失われます。死亡率は1割で、後遺症発症や再発が多い病気です。詰まった部分の事は血栓と呼びます。実は脳梗塞は頭痛が起こりにくいです。
症状は身体の片側に異常が出るケースが多く、力が入らない・痺れる・感覚が鈍くなる等の症状がよく出ます。また、言葉がうまく出なくなったり・呂律が回らない、ふらつく、めまいがする等の異常も起こります。
脳出血
脳出血とは脳の血管が破れて、出血を起こしている状態です。ほとんどは高血圧性脳出血です。高血圧や動脈硬化による血管の変化の関与があって発症するとされています。興奮、過労、入浴、排便時のいきみなどをきっかけに発症することがあります。後遺症は半身麻痺や言語障害などが残りやすい傾向があります。
症状は頭痛、左右どちらかの手足に起こる麻痺、嘔吐、意識混濁等が起こります。頭痛は急に起こるケースが多いです。
労作性頭痛?
一時性頭痛の中には、労作性頭痛(一時性運動時頭痛)という頭痛があります。この頭痛は激しい運動や長時間の運動により引き起こされる頭痛を指しています。偏頭痛的な症状、いわゆるズキズキと脈打つような痛みがあります。性行為頭痛は労作性頭痛との関連性が高いと言われています。
性行為頭痛の傾向
性行為頭痛の症状は、下記二種のどちらかで発現します。
A.突然激しい頭痛が起こるタイプ
こちらが大半を占めます。
B.徐々に頭痛が強くなるタイプ
行為が終わった後にさらに頭痛が強くなる方もいます。
性交性頭痛でやるべき事
性行為に伴って発生する頭痛が一時性頭痛か、脳卒中かは判別が付かない場合があります。不安に感じた場合にまずやるべき事は、二次性頭痛でない事の確認です。
これを確認するためにはMRIかCTでの検査が必要です。どちらが良いか?と聞かれた場合は推奨はMRIとお答えしています。カバーできる病気の種類、情報量が多く、頭を調べるのに適した検査方法のためです。詳細はMRIとCTの違いをご覧ください。
性行為頭痛の治療
痛み止めで頭痛を感じにくくさせる治療が一般的です。事前予防としてインドメタシンを摂取するという方法がありますが、これには科学的エビデンスは存在しません。当院でも処方した事がないため、効くかどうかは未知数です。
痛み止めはロキソニンやイヴプロフェンなど、汎用性の高い頭痛薬を使用します。ズキズキと脈打つような強めの頭痛の場合は、偏頭痛薬を処方されるケースもあります。
不安に思う方へ
性交性頭痛に不安を感じる方は検査をお勧めします。もし頭痛を複数回繰り返すようであれば、念のため一回は調べておくと良いでしょう。下手にモヤモヤし続けるよりは安心感を得た方が今後のためにも良いと思います。
検査は当院でも実施できます。当院は横浜市青葉区にある脳神経外科クリニックです。田園都市線藤が丘駅から徒歩8分です。
当院の診療経験
当院の場合、年間30人程が性行為頭痛でお越しになられます。これは一般的な脳神経外科と比べると、やや多めの人数かと思います。皆さん非常に安心して笑顔になって帰られるので、来られる時点では相当気掛かりなのだと感じます。
恥ずかしくて受診しにくいという方へ
行きにくいと感じる方は当院へお越しください。電話予約の時点で「性行為頭痛があるので検査をしたい。」と正直にお伝えいただいて構いません。他の患者様と同じように診察させていただきます。
よくある当院へのご質問
Q.最短でいつ検査ができますか?
当日枠に空きがあれば、その日に検査が可能です。
Q.どれぐらい時間が掛かりますか?
患者様の滞在時間は平均で2時間、混雑時で3時間程度です。状況により変動はありますので、目安としてお考えください。
Q.いくら掛かりますか?
3割負担で初診の方の場合、MRI検査込みで約8,500円です。追加検査を行う場合は概ね10,000円~15,000円です。
Q.何回通う必要がありますか?
一回きりのご来院で大丈夫です。当院が1度で診察、MRI撮影、結果説明の全てを行う方針だからです。
※懸念事項があった場合、採血結果のお知らせ等、例外はあります。
Q.予約制ですか?
予約制です。ご来院前にお電話にてご予約下さい。
危険な頭痛かのチェック
頭痛が起きた場合の症状別案内です。前半だけでもご覧いただき、自分の頭痛と症状が合致していないかチェックしてみてください。※あくまでも簡易チェックですので、最終的にはきちんと検査で問題がない事を確認してください。
記事監修
院長 泉山 仁
・横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 院長
・日本脳神経外科学会専門医
・日本脳卒中学会専門医
平成27年 市が尾カリヨン病院 病院長
平成29年 青葉さわい病院 副院長
令和元年 横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科 開業
横濱もえぎ野クリニック 脳神経外科・脳神経内科
田園都市線藤が丘駅より徒歩8分、青葉台駅より徒歩13分
診療:要予約制 診療日:月~木曜日、土曜日
初診でMRI希望の方は事前にお電話にてご予約ください。
当日のご予約も可能です。
電話番号:045-482-3800